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熱海のリゾート不動産投資の動向

​熱海のホテル投資の動向 ④

最近の熱海における宿泊施設に対する投資の増加は熱海のリゾート系不動産市場における取引価格にも影響を与えつつあります。その典型例が前述した中国系資本による宿泊施設への転用を前提とした既存の保養所や店舗ビル等の高値での取得です。これらの取引は一般に公表されることが無く、また、弊所で取引価格等を把握している案件についても守秘義務等の問題からここでその詳細を明らかにすることは出来ません。

 

なお、これは中国系資本による事例ではありませんが、取引価格が公表されている代表的な事例としては平成28年9月の大江戸温泉リート投資法人による熱海市咲見町のホテル取得事例が挙げられます。同投資法人による取得価格は路線価の約6倍となっており、高稼働のホテルであれば、バブル期以降大幅に下落した現在の熱海の地価水準であれば、その数倍で取得しても採算が取れることが判ります。

 

なお、上記投資法人による取得はスポンサー企業からの取得のため、高値での取引はいわばピンポイントの例外的な取引とも見られていましたが、その後、昨年の夏頃から、これまでの一般的な取引価格水準を大幅に超える水準での成約が熱海駅周辺で散見される様になり、現在では、その様な高値の取引が周辺部に広がりを見せつつあることから、観光需要の認められる不動産については、市場の需給環境が転換し、買い手優位の状況となっていると言えます。


複数の需要が競合し価格が上昇傾向にあることを認識している宿泊施設や店舗等の売主の中には、市場の価格先高感を背景に、いったん出した売希望価格を値上げするため市場から物件を一時的に引き上げたり、購入希望者から路線価の数倍の高値を提示された買い希望価格に対し、これを大幅に上回る売り希望価格を提示することで成約を回避するといった行動に出る売主も一部で見られる様になっており、この様な状況は、投資用不動産の価格が高騰し始めた都心部における数年前の不動産市場と類似しているとの印象を弊所鑑定士は抱いています。


当時、筆者は銀座の不動産鑑定事務所で、都心部の不動産価格がリーマンショック後の底値から反転し急上昇する過程を眺めつつ、オフィスや商業施設、ホテル等の投資用不動産の鑑定評価を行っていましたが、市況が好転し価格上昇が始まった当初は依頼者であるファンド関係者や金融機関等の担当者の口から「いつか来た道」という言葉が合言葉のように囁かれていたことを思い出します。リーマンショックで痛手を被った苦い記憶が未だ鮮明に残っていた時期だったことから、「あのような失敗はもうしない」という自戒の念を込めた言葉と当時は受け止めていましたが、間もなくその様な言葉を聞くことも無くなりました。

(熱海のホテル投資の動向⑤につづく)

リーマンショック後、更地のまま放置されてきた熱海サンビーチ前のホテル開発予定地

写真中央の更地は、ファンドバブル期に計画されたものの、更地の状態が続くホテル開発予定地。現在は共立メンテナンスが延床面積3.4万㎡超・300室クラスの大型ホテルの開発を計画中。この更地の隣り、写真左に見える建物は、約10年間未入居の状態が続いた大型商業施設(延床面積約2.6万㎡)。2018年に中国系資本が買収し、2019年5月には高級ホテルとして開業を予定し工事中。