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 【お知らせ】 静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」に弊所不動産鑑定士柳田が出演、伊豆の別荘地事情と市場動向を解説しました。

                                     2018.10.29 16:45~放送「とびっきり!しずおか」『とびっきり!情報局』生出演

伊豆の不動産市況

最近の別荘地マーケット

伊豆は東京方面からのアクセスに優れ、また、山海の自然と温暖な気候、温泉にも恵まれたリゾート地として人気が高く、昭和40年代の高度成長期から平成初頭のバブル期にかけて伊豆半島各地で大規模なリゾート施設や別荘地、リゾートマンション等の開発が活発に行われました。バブル崩壊後大幅に値崩れした伊豆のリゾート物件ですが、ここ数年は、熱海を中心に観光客の増加や景気回復を背景とする富裕層向けリゾートマンションの分譲が復活する等、明るい動きも見られます。

近年の傾向として、バブル期前後に購入し高齢となった所有者や相続人による売却が増加する一方、団塊世代を中心とするシニア層の移住地やセカンドハウスとして戸建別荘やリゾートマンションを購入する動きも見られます。但し、需給バランスについては、多数の供給物件に対し需要は限られるため、市場では一部を除き買い手優位の状況が続いています。特に、利便性の劣る山間部の別荘地や管理状況等が劣る別荘地・マンションでは需給不均衡の度合いが強く、市場滞留期間の長期化と価格下落傾向が顕著となっています。とりわけ、建物の間取りや管理状況が悪い場合や土地のみの売希望物件には価格を下げても買い手がつかない場合も珍しくありません。

伊豆の山間部で昭和40年代に分譲された、交通アクセス、管理状況等が極めて劣るある別荘地では、利用者が大幅に減少し、維持管理や修繕がなされないまま長期間放置され廃屋同然となった建物が増加しています。別荘地内の廃屋増加は、道路・水道等のインフラ老朽化と相まってこの別荘地のイメージを低下させ、更なる需要減退を招くといった悪循環を生じさせています。

 

この様な市場性が極めて劣る山間部の一部の別荘地では、建築されないまま更地若しくは山林同様の状態で放置されてきた土地も多くみられます。こうした未利用地は、本来の別荘用地としての新規需要が殆ど見込めなくなったものの、日照の良いまとまった規模の土地については近年、太陽光発電施設の用地として取引されるものが増えています。但し、メガソーラーについては周辺の景観悪化や自然環境破壊等の理由で反対する動きも各地で起きています。

また、リゾート物件にも利便性を重視する需要者が増えていることも最近の傾向として挙げられます。これは前述した定住目的でリゾートマンションや別荘地内の戸建て物件を購入するシニア層が増加していることが背景にあります。これまで伊豆のリゾート物件では海の眺望の有無がその市場性を大きく左右すると言われてれてきましたが、近年では海の眺望以上に利便性を重視する定住目的のシニア層が増加しているため、商業施設まで徒歩圏、坂道が少ない等、利便性の良好な物件であれば、海の見えない弱みを補って相応の価格で成約に至るケースも見られます。

最近、伊豆半島東岸で久々にある程度まとまった規模の新規分譲地が開発・販売されましたが、この分譲地は海の眺望はほとんど望めないものの、駅から徒歩圏でスーパーや金融機関等にも近いなど、生活利便性が良好なエリアにあります。これは上記の様な定住シニア層の需要を見込んだものであり、近年のリゾート地における需要の変化が業者の開発行動に影響を与えたたものと言えるでしょう(この分譲地の販売は移住目的のシニア層を中心に概ね順調に進んでいる模様です)。

但し、団塊世代が後期高齢者となる頃には、現在人気のエリアでも売り物件が大量に供給され、需給バランスが崩れる可能性もあります。生活便が良好なエリアについては、地元住民の需要もあり、価格調整が進めば、ある程度供給の受け皿となることも考えられますが、伊豆半島の各市町は少子化と人口減少が進み、高齢化率も40%を超える自治体が大半です。今後も人口減少と少子・高齢化が進むことが予想されるため、現在人気のエリアでも将来にわたって安泰とは必ずしも言いきれない状況です。

大室山から見た伊豆高原一帯の状況:伊豆高原は周辺に観光施設等も多く、伊豆のリゾート地では知名度・人気とも高いエリアですが、利便性や品等、管理体制等による別荘地間の格差に加え、地勢や眺望、建物状況等、物件の個別性による格差が極めて大きく、戸建別荘地の取引価格は土地単価で最大10倍程度の格差があり、人気の伊豆高原エリア内でも二極化が進んでいます。

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