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 【お知らせ】 「『週刊ダイヤモンド』特別レポート」に弊所取材協力(下記熱海のホテル投資の動向 ①~⑦に関する取材及び関連情報提供)に基づく     熱海のホテル投資動向に関する記事が掲載されました.。  2018.10.29 ダイヤモンドオンライン  https://diamond.jp/articles/-/183474

熱海のリゾート不動産投資の動向

​熱海のホテル投資の動向 ①

ここ数年の温泉地「熱海」の復活については、テレビや雑誌、インターネット等でも数多く取り上げられ、その復調振りについては、観光庁による「平成29 年版観光白書」において7 ページに渡って特集が組まれる程で、同白書では熱海における復活に向けた施策や具体的取り組みが紹介され、温泉観光地として再生した要因が分析されています(詳細は2017 年版観光白書 第Ⅱ部「持続可能な賑わいを有する観光地づくりに向けて」P61~   http://www.mlit.go.jp/common/001211874.pdf  をご参照ください)。

最近では中高年層や団塊世代だけでなく、学生や20~30 代の若年層、女性にも人気の温泉観光地として復調著しい熱海ですが、熱海の不動産市場は現在どの様な状況になっているのでしょうか。ここでは最近特に投資が活発化しているホテルや旅館等の宿泊施設を中心に熱海のリゾート不動産市場における投資動向について、過去10 年程の動きも振り返りながらお話ししたいと思います。

今年の春、熱海における最近の不動産市場の状況を象徴する不動産取引が報道され話題になりました。それは東海岸町、熱海サンビーチの砂浜が目の前に広がり、「お宮の松」の銅像を見下ろす国道135 号沿いの一等地に建つ延床面積約2.6 万㎡の未利用の大型商業施設が中国資本によって買収され、富裕層向けのホテルに改修されて2019 年春に開業を予定しているというものです。

 

この商業施設は、リーマンショク前、東京都心部から主要地方都市に拡大した投資用不動産の高騰期、いわゆるファンドバブル或いはミニバブルと言われた時期(2006~2008 年頃)に、東京の不動産開発業ジョイントコーポレーションが開発し、完成間際に工事が中断、その後およそ10 年にわたり放置されてきた熱海では最大級の未入居の商業ビルです。

同社はファンドバブルを背景に開発用地の取得競争が激しさを増す中、熱海、湯河原地区の不動産投資に傾倒、多数のリゾートマンションや商業施設の開発を推し進めたものの、ファンドバブル末期の計画は大半が事業を中断、東海岸町の商業施設も竣工目前で同社が経営破綻し、ゼネコンの管理物件となりました(熱海より先に開発された湯河原町の商業施設は同社系列のリートに売却され、その後オーナーが交代したものの現在も湯河原地区では数少ない大型の複合商業施設として営業しています)。

 

経営破綻したジョイントコーポレーションの複数の開発途上物件は、その後紆余曲折があったものの、東海岸町の商業施設を除き他の開発業者に事業が承継され、熱海駅前の30 階建のタワーマンションも新たな事業者ゴールドクレストにより「ザ・クレストタワー熱海」として2017 年に竣工し、熱海新駅舎に隣接して2016 年に開業した商業ビル「ラスカ熱海」と共に熱海駅周辺の新たなランドマークとして、復活した熱海を象徴する景観を形成しています。

一方、東海岸町の商業施設の方は、復活した温泉地熱海とは裏腹に依然として未利用のまま放置され、周辺に建ち並ぶホテル・マンション群の中でもひと際目立つ巨大な空っぽの建物は、リーマンショクとその後に発生した東日本大震災後の熱海のどん底時代を象徴するかの様な空虚な姿を晒し続けていました。とりわけ、それが多くの観光客が行き交うサンビーチの目の前、熱海を代表する観光スポットお宮の松の正面の一等地にあることから、熱海の観光関係者にとっても大きな悩みの種でありました。

その10 年越しの懸案の物件が、ホテルに改修され、来年春には「五つ星クラス」の高級リゾートホテルとして開業するという具体的な利用方法を明示した新たな買い手が遂に現れたという報道は、熱海の観光や景観にとってブラスとなることは間違いなく(夜間に照明が点かない海岸沿いの巨大な空きビルは観光客回遊の阻害要因となりかねず、また、「百万ドル」と言われた熱海の夜景にとっても大きなマイナスでした)、そして、これはもちろん不動産市場にとっても明るいニュースとなっています。

 

(熱海のホテル投資の動向②につづく)

商業施設をホテルに改修し2018年5月に開業予定の「熱海パールスターホテル」(写真中央の建物)