熱海のリゾート不動産投資の動向
熱海のホテル投資の動向 ⑥(追加情報)
弊所、伊豆海山不動産鑑定事務所が調査・作成した「熱海のホテル計画2018」は8月1日時点の調査に基づく情報を掲載しています(熱海のホテル投資の動向②に掲げたホテル計画の一覧も同様)。ここでは、その後の調査により判明した情報を以下に掲げます(前段)。
なお、熱海のホテル投資の動向①~⑤において中国系投資家による商業施設や保養所等の買収が活発化していることは既に述べましたが、これらの中には利用されないまま放置されている物件や既に転売を目指し売却活動を行っている事例も見られます。後段では、中国系投資家による物件取得とその後の動きについて、追加情報と共に整理しました。
【8月以降に判明したホテル計画等】
① 2018 年8月開業:熱海風雅
・梅園町の高台に立地する旧城南信金研修所が全34室のホテルに改修され本年8月8日に開業
・リロ子会社のワールドリゾートオペレーションが本年4月に取得、小嵐町「熱海TENSUI」の姉妹館として運営
・客室料金は10月土曜日1室2 名2 食付き:3 万円台/室~
② 開業時期未定:小嵐町ホテル計画
・上記①小嵐町の「熱海TENSUI」の向かいの更地で地上8階建・延床面積約5,600㎡・54室のホテル計画
・現地の掲示によると事業主は投資用不動産開発等を行うライフリビング(レオパレス21子会社)
・2018年10月着工・2020年3月完成予定
③ 計画変更: 暖海荘跡地ホテル計画
・万葉倶楽部株式会社が保有する東海岸町の計画地を2017年11月沼津市のマンション開発業者が取得
・新所有者の大藤建設株式会社は2017年に同じ東海岸町にてリゾートマンションの分譲実績あり
④ 概要判明:プリンスホテル熱海駅前ホテル計画(伊豆箱根バス事業所跡地ホテル計画)
・春日町の伊豆箱根バス営業所跡地ホテル計画の事業主が、株式会社プリンスホテルと判明
・熱海駅から約250m、東横イン付近の同跡地約1,668㎡に8階建・延床面積約3,700㎡・125室を新築予定
・着工・完成時期は今のところ未定
⑤ 開業時期未定 「ホテルリブマックス熱海」建替計画
・ホテル建替えのため2018年10月16日をもって営業終了(ホームページにて告知中)
・閉館後、既存建物は解体され、新たなホテルを建設予定。解体・着工時期等は今のところ未定
【中国系投資家の物件取得とその後の動き】
① 昭和町国道沿いの店舗ビル
・デニーズ向かいの4階建のかつての写真店のビルをホテルに改修
・2018年5月ホテル開業「伊豆の海」として現在も営業中
② 東海岸町国道沿いの大型商業施設
・100室クラスの全室露天風呂付のホテルの開業を目指し現在改修工事が進行中
・地元ホテル関係者の中には予定している2019年5月の開業は困難との意見も見られる
③ 熱海駅周辺の店舗ビル
・2018年夏の取得時にはゲストハウスに改修予定との情報
・その後、改修工事等は行われず現在も空きビル状態が続く
➃ 熱海駅周辺の保養所
・当初、日本人のホテル関係者を雇用しホテル開業を計画
・現在は推定2億円台で取得した本物件を3億円台中盤以上で転売を狙い売却活動中
⑤ 来宮駅周辺の保養所
・企業の保養所を取得後改修し和風旅館として営業中
・現在は営業中の旅館として売却活動中
⑥ 来宮駅周辺の保養所
・推定1億円台後半で取得した保養所を2億円台中盤で転売活動中
(以上、2018年10月13日更新)
プリンスホテル進出予定地(春日町の伊豆箱根バス営業所跡地)の様子(2018年10月8日撮影)
上の写真左が2018年4 月に閉鎖されホテル建設に向け取り壊された春日町の伊豆箱根バス熱海営業所と跡地。写真右はホテル建設予定地の前面道路沿いの様子。建設予定地は熱海駅から約250m、徒歩4分程と近く利便性に優れるが、付近のホテルは東横イン(写真右の奥)のみ。建設予定地の面する幅員12mの市道沿いには閉鎖された建物も複数見られ、今後もホテル建設の可能性がある。なお、写真撮影の数日後、現地に株式会社プリンスホテルを事業主とするホテル計画の概要が掲示された。
ホテル建設予定地に掲示された「事前事業計画掲示板」に掲載されている土地利用計画図
熱海市まちづくり条例に基づく事前事業計画掲示板によると、事業主は株式会社プリンスホテル、建物は鉄筋コンクリート造地上8階建・高さ28.30m・1棟・建築面積593.18㎡・延床面積3,716.87㎡・客室数125室、敷地面積は1,668.34㎡。また、事前事業計画掲示板添付の「土地利用計画図」によると、敷地内には福祉駐車場2台を含む63台の駐車場の設置が予定されている模様。